2019年10月に黒部下の廊下を訪れた。小生の観天望気では午後から雨は上がると予想し登山を開始したが、天気予報通り午後から本降りとなった。仮に雨でも木道が滑ることのリスクはあるが、それ以外はあまりリスクは上がらないと判断していた。しかし経験不足から予想もしないリスクが内在していた。それは雨による沢の増水や沢の発生である。当時を振り返り、黒部下の廊下を訪れる方の参考になればと思う。
黒部ダム ⇒ 内蔵助谷出会(CT:1時間45分)
前入りしロッジくろよんにてテント泊。天候を確認し出発(0630)。雨は降っていない。黒部ダムの観光放流を見ながらダムの下に下りる。下から見上げるダムも壮観。最初は普通の登山道。しかし途中からはこれぞ下の廊下といった景観が現れる。また予想に反し(予報通り)雨が降り出してきた。本降りになる。滝のように流れる水を頭からかぶることも。阿曾原らから来たソロの方と会う。この時間に来るとは相当の健脚。登山道の状態に関する情報交換。この先の沢の渡渉は太ももまで入る必要があるようだ。渡渉の可否は行って様子を見て判断するしかない。
恐怖の渡渉(内蔵助谷)
情報交換の後、しばらく進むと沢に到着。ここか!見た瞬間に渡渉は無理と判断。仮に一歩目は大きな岩に飛び移っても二歩目がない。戻るか?待てよ、確か先ほど会ったソロの方は『太ももまでは入って渡渉』と言っていたことを思い出す。一歩目の後は、飛び移った大きな岩で流れがよどんでいるところに入って、岩伝いに進めば渡渉できる!!決行!!
無事渡渉できた。
内蔵助谷出会 ⇒ 阿曽原温泉小屋(CT:6時間25分)
渡渉後は(1120)、廊下を無事に進み阿曽原温泉小屋に到着(1540)。テント設営、就寝。土砂降りなので風呂はスキップ。尚、小屋に宿泊者は3名、もちろんテント場は小生だけ。
阿曽原温泉小屋 ⇒ 欅平(CT:5時間15分)
翌朝、朝風呂に入って出発(0800)。天気も晴れてのんびり進む。欅平到着(1255)。トロッコ電車で宇奈月温泉へ。
反省
まずは天気予報を無視して自分の観天望気に頼ってしまったことが、最も反省すべき点。事前に悪天候も考え予備日を1日取っていたので、翌日の出発でも問題なかった。
二点目はリスク管理の点。雨によるリスクは木道のスリップ以外にも、沢の増水による渡渉不可や鉄砲水類の発生等も考えられる。降雨時のリスク管理をもっと慎重にすべきであった。
三点目はビバークへの備え。仮に1回目の渡渉に成功しても、その先に渡渉不可能な所があるかもしれない。その場合には戻ることになるが、1回目の渡渉箇所は時間の経過とともに増水し再渡渉が不可になる可能性もあった。渡渉不可であればビバークとなる。しかし下の廊下にはビバーク(テント設営ができるような平坦なスペース)できる箇所は少ない。最悪、登山道で座って夜を超す必要がある。非常にリスキーである。そこまでも考慮して進むべきだった。
いずれにしろ、雨の下の廊下は晴天時に比べリスクが数段上がると考えて臨む必要があると思う。基本、雨天時は行かない方が賢明かも・・・。
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