大雪山縦走(黒岳⇒トムラウシ):撤退

山行記録

 一昨年(2023年)夏に旭岳からトムラウシまで2泊3日で縦走した。天候も良く白雲岳から忠別岳までの稜線に魅了され再訪問。特に前回は高山植物には少し早く(途中のコマクサ大群落はつぼみ)、今回は高山植物の最盛期を目当てに計画(結果的には、特典航空券が取れず計画より1週間早い)。また下山時点の東大雪山荘の予約もズレたため、3泊4日に変更して決行することとなった。

はじめに

6月29日(日)
 朝一の飛行機のため蒲田のカプセルインに前回同様前泊。風呂とサウナの後はビール他で就寝。

6月30日(月)
 前回はホテルから徒歩で京急蒲田に移動(10分前後)し羽田に向かったが、駅前からシャトルバスがあるのでシャトルバスを利用。しかし失敗。ザックを下ろすのが面倒なので背負ったまま。20分以上かかるので、やはり電車の方が良かった。手荷物は自動チェックイン or 有人か忘れたので自動チェックインをやったがやはり無理。有人で処理(時間がかかった)。フライトは足が延ばせる非常口前の座席。ゆったり座って旭川空港に到着。ガスカートリッジを購入しなければならないが、前回購入したと思われる空港のコンビニ(レンタカー受付前)は開店前(前回と同じ便なのに?)。旭川駅で買えばいいと思い、旭川駅行きのバスに乗車。駅に到着後、ザックをコインロッカーに預け高砂酒造(国士無双)見学。10分もあれば見学可能。帰路時であれば酒を買いたいが・・・。駅に戻り昼食。

 ディープな飲み屋は帰路時に取っておいて、イオンモール4階?の飲食店フロアーを散策。『ふく亭とと魯』のちょい呑みセットもよさそうであるが少し物足りない。食べ放題のビュッヘで90分アルコール呑み放題を発見。時間的(旭岳温泉行バス)にも丁度。昼からビールに浸る。90分一本勝負も終わり、イオンで登山中の昼食(パン)を購入。ついでに本日の夕飯時のワイン(十勝ワイン)も購入。しかしボンベは駅付近で売っていない。ロープウェイの売店で購入可能であることが分かったので一安心。バスで白樺荘へ。チェックイン。夕飯までは時間があるので、ロープウェイ売店まで行ってボンベを購入。ついでに予備のライターも。宿に戻り露天風呂で汗をかいて夕飯。前回はメインが2品あった気がしたが、今回は1品(鶏肉の焼き物)だけで、プラス小鉢3品(マカロニサラダ、ウド?とシーチキンの和え物、?とベーコンの炒め物?)であった。少しがっかりだが、デザートには今回も満足。ワインも空いてまだ飲みたかったが、他の宿泊客が部屋に戻ったので小生も戻り就寝。その前に洗った洗濯物とスニーカーを下山口へ届ける宅配の手続きを済ませて。

7月1日(火)曇り ザック重量20㎏前後 特別装備:チェーンスパイク
 4時過ぎに起床。曇り空だが少し外を散歩してパッキング。朝飯(大きめのおにぎり2個とたくわん2切)をたいらげ6時に出発。始発のロープウェイは前回と違って並んでいない。まあ~天気予報が悪いから、始発便には15人前後か?姿見駅に到着。真っ白。

姿見駅 → 中岳分岐(CT:4時間半前後)

 パッキング状態を再確認し、雨具の上着を着ていざ出発(0650)。裾合方面に向かうのは小生だけ。CT7時間弱なのでのんびり歩く。とは言っても何も見えないし、朝露?で上着はびしょびしょ。しかし花は綺麗。キバナシャクナゲがこれほど咲いているとは思いもしなかった。もちろん期待のチングルマも咲いている。

裾合分岐に到着(0825)。朽ち果てたベンチもどきもあるのでここで休憩。ここから先が昭文社の地図にもあるチングルマの群生に会えるはず。

地図には『ヒグマ注意』の記載も。この真っ白状態ではヒグマがエサを食べていても相当近くに行かないと判断できないな、と思いながら先に進む。チングルマには早かった、残念。少し明るくなってきた。旭岳の稜線は見えないが山腹の雪渓は見える。

中岳温泉に到着(0615)。下山時若しくは日帰りなら一風呂浴びるとこだが、先もあるので写真だけ。稜線へ向かう沢の景色が綺麗。

ここからが本格的な登りだな。ルートが確認できる。しかし登りもあまり長く続かず稜線に到着。遠くに中岳分岐と思われるところも見える。分岐の方からロープウェイで一緒と思われるソロの女性とすれ違う。分岐に到着(1010)。ここで休憩。

中岳への登は見る限りそれほどでもない。のんびり進むと頂上に到着(1030)。そのまま進む。北鎮岳分岐に到着。荷物をデポし北鎮岳へ。ちょっとしたざれ場の登だが空荷なので楽々。頂上に到着(1110)。丁度雲が切れて景色が見えた。写真を撮って分岐に戻り休憩。

ここからは後下るだけ、と気を抜いていたら昭文社の地図で注意の旨の表記のある雪渓に。おそらくステップが切られているだろうと判断しそのまま(ノースパイク)で進む。しかし結構な斜度でステップがない。着けるべきだったとも後の祭り。一歩一歩ステップを切って進むが、直進ルートは滑落した場合に岩に激突するのでだめ。右岸は谷底まで落ちるのでだめ。左岸は沢筋に落ちるが、ざれ場なので最悪でも軽傷と判断し、左岸にトラバースする感じで下りながら最後に夏道に戻るルートを選択。下からトレランのペアが登ってくる。ジョギングシューでは無理でしょう。女性はあきらめ尻セードで戻った。男性がまた登ってきたが、『ステップきれないから危険ですよ』とのアドバイスを理解したようで、やはり尻セードで戻った。他に外国人のペアもいたが、トレランの方の様子を見て戻っていった。正解です!!無事雪渓を下りて、展望台に到着。写真をパチリ。

なんだか雲ノ平のような雰囲気。とは言っても実際の雲ノ平は行ったことはないが・・・。案の定、昭文社の地図にも『雲ノ平』との表記があった。

平らな道を進んで、桂月岳を左に、正面に黒岳(実際は黒岳の前ピーク)を見ながら小屋に到着(1240)。

石室 ⇔ 桂月岳&黒岳ピストン(CT:1時間弱)

 ザックをデポ(実際は乾かしたり、寝床を作ったり)しまずは桂月岳へ。頂上に標識はない(見落としか?)が、頂上らしきエリアには大きな岩があり、岩を一周するような登山道となっていた。頂上では丁度雲が切れ景色を眺めることができた。写真を撮って直ぐに下山。

小屋に戻りそのまま黒岳へ。小屋から見えるピークが黒岳頂上と思っていたが、桂月岳から下る際にその奥にピークと人影が見えたので小屋から見えるのは偽ピークであることがわかった。偽ピークまで登ると後は短いが稜線歩き。頂上に到着もガスの中。ここでは何も見えない。一服してすぐに下山。ホントピークハントしただけ。

黒岳石室(泊)

 小屋に到着して受付をしようとしたところ、小屋番の方が「まずはザックを乾かしてからでいいよ。おそらく今日は一人でしょう。ここが平らでベスト」と小屋の中の一画を勧められた。ありがたい!!乾かした後、寝床を整えピークハント。戻って一人宴会。酒は少し高い(350mlビールが1,000円)が飲まずにはいられない。1本だけ。後は持ってきたバーボンの水割り。尚、雨水は無料なので濾過して飲み水に。19時に外に出たところ、小屋番さんがテント場の方に歩いて行った。戻ってきて、鈴の音が聞こえるので・・・。とすると3人のパーティ到着。10時スタートでだいぶ時間がかかったようだ。小生は食事は済んでいたが、少しご一緒(ビール2本目)して山談義。小生よりは少し年上の姉妹と男の子のお孫さん(小学校高学年かな)でした。20時になり先に就寝。

石室 → 白雲岳避難小屋(CT:4時間前後)

7月2日(水) 曇り ザック重量20kg前後(ビールを購入)
 4時前後の小屋の外は青空が少し見えた。晴れは期待していないが、雨はなさそう。先のパーティの方に挨拶(男の子はまだ就寝中)して出発(0455)。小屋番さんの情報では、10分強下った先にある沢は橋が崩壊してるので濡れるの覚悟との話。足首程度とのことなので問題なし。流れも速くないという。沢に到着(0505)。濡れないところを探すも無理なので、そのまま渡渉。

渡渉後は沢筋に暫く進むみ沢から離れて登が始まる。ベンチのある平たいピークに到着(0550)。ここで休憩。これから進むクジャク岩が見える。

クジャク岩の下はトラバースする感じで進む。

何か碑が見える。なんだろう?近づくと遭難の慰霊碑。合掌して戻り先に進む。ガスが濃くなってきた。風も強くなってきたが問題なし。北海岳に到着(0640)。何も見えない。休憩して先に進む。

前回は晴れていたので、『高山植物の時期は綺麗だろうな~」と思ったがガスってなにも見えない。咲いているのは分かるが・・・。白雲岳頂上も雲の中だったが一瞬だけ見えた。

どんどん進む。雪渓にはトレース(黒く少しくすんでいる)があるので問題なし。一昨年よりは雪が多い感じ。雪渓にエゾウサギが、写真をと思った瞬間には・・・。

最後の登りで分岐に到着。晴れていれば白雲岳のゼブラ見物だが、このガスでは何も見えないと判断し避難小屋を目指す。途中の雪渓で10人ほどのパーティが。撮影機材も持っている感じ。渡渉の状況を聞かれたが、『足首ぐらいで流れも速くないので問題ないですが、時間がたっているので昨夜の雨次第では増水しているかも?』とアドバイス。そして水場に到着。一昨年は雪渓からの水場であったが、今年は雪渓が溶けていた。小屋に到着(0810)。

白雲岳避難小屋周辺散策(CT:4時間弱)

 小屋にデポ(もちろん小生だけ)し、暇なので周辺散歩。雪渓まで下り稜線を目指す。稜線近くからコマクサが見られた。

稜線から緑岳方面に向かう。晴れていれば気持ちよさそう。登山道の両サイドには高山植物。もちろん誰も歩いていない。

緑岳までピストンして戻り、今度は小泉岳を目指す。こちらも高山植物だらけ。ウルップソウが多い。小泉岳少し手前の右サイドにはウルップソウの一大群生。バレーコート1面?ほどにウルップソウがウドのタケノコのように乱立していた。

小泉岳を過ぎて分岐から赤岳を目指す。

赤岳手前では左サイドが絶景。赤岳に到着(1105)。ここで休憩。来た道を戻り白雲岳分岐。晴れていれば白雲に向かうがパスして、小屋に戻る(1130)。

白雲岳避難小屋(泊)

 宿泊予定者は20名前後だったようだがあいにくの雨。結局、広島からの写真愛好家(高山植物)の方と小生だけ。やることがないので酒を飲んで就寝。写真愛好家の方から、高山植物について色々お教えいただいた。『キバナシオガマ(小泉岳の稜線で見かけたが名前がわからなかった)は、稜線は風が強いので小屋周りの方が綺麗ですよ!ウルップソウも本州よりも葉っぱが細いのでホソバウルップソウ。大雪山系は地勢状から固有種が多い」等々のアドバイス。

避難小屋 → 姿見駅(CT:6時間強)

7月3日(木) 小雨 ザック重量18kg前後
 雨予報なので朝早く起きたが濃いガス。雨はさほどではないが風が強く、困ったことにガスが濃い。視界30m程度か?ひどいと20m程度。今日のルート的に突風でバランスを崩して滑落するような場所はないが、ガスが怖い。登山道でヒグマがえさを食べていても近くまで気づかない。餌を食べている時に近づいたら・・・。迷う。7時(CTで7時間前後、強風と雨・ガスで時間がかかっても10時間、日の入り前には着ける)までにガスが少し晴れれば決行。広島から来た方は停滞を決めたようだ。ガスは晴れない。停滞して明日、旭岳温泉 or 銀泉台に下山するか?しかし停滞しても結局は下山しかない。小生もトムラウシは諦める。尚、テント場には2張りあったが1名の方は旭岳温泉に下ると言っていた。1張の方は不明。
 下山開始(0645)。もちろん何も見えない。

白雲岳分岐に到着。先に進む。昨日は先が見えた雪渓も視界が悪い。可能な限り夏道を進む。

稜線では風が強い。しかし10m前後だろう。体がもってかれたり、踏ん張る必要はない。ソロの男性がトムラウシを目指す(今日は忠別避難小屋)と言っていた。ほかに数名が白雲岳に向かって行ったが、ほとんどの方が旭岳までのようだ(ザックの大きさから)。景色も楽しめないし、一昨年歩いた道なのでどんどん進む。旭岳へ登る雪渓は方向が全く分からなかった(とっつきをミスった可能性大)。GPSとコンパスで方向を決めて進む。途中からステップが切られていた。頂上到着。一服して下山。この悪天候でも登ってくる人が結構いた。スニーカー、ビニールの雨具、タンクトップの上着、登山にふさわしくない装備の人も・・・。無事、姿見駅に到着(1205)。

おまけ

 下山後はバスで旭川駅に移動。明日、東大雪荘を予約しているので旭川駅のビジネスホテルに宿泊。飲みには出ないでホテルで軽くいっぱいして就寝。翌朝バスで新得駅に移動。東大雪荘の良さは前回報告済なので省略。翌朝はホテルのバスで駅まで送迎してもらう。旭川行きのバスまで時間がある。周辺散歩。最近ブーム?の地域特有のマンホールをパシャリ。

昼食は新得そばを駅の近く『せきぐち』で舌鼓(詳細は酒のブログで)。旭川駅ではディープな飲み屋を散策。駅前のビルに昼飲みができるエリアが。1件目はカード不可で撃沈。2件目はOK。『にこにこ君』(同じく詳細は酒のブログで)で旭川を堪能。中の写真は遠慮して外観だけ。

まとめ

 あいにくの悪天候でトムラウシには行けなかった。結論から言えば行けたであろう。しかしリスク回避。歳も歳。忠別沼から30分ほど手前のコマクサの群生(ヒグマに襲われそうになった場所)を見たかったが・・・。しかし小泉岳~緑岳の稜線は花が見事だった。次回も同じ様なコースで晴れた稜線を歩きたい。また銀泉平からのルートは花が多いようだ(石室の小屋番さん曰く)。次回は色々コースを考えて、今度こそコマクサの群生に合いたい。
 今回も一昨年同様に旭川空港を起点とした。しかし東大雪山荘の方(送迎バスの運転手さん)と色々話させていただき、帯広空港を起点にするのもよさそう。また旭川・帯広がダメな場合新千歳空港からでも可能であることを知った。来年は時期(7月の上旬から中旬)を第一優先にして起点を考えたい。更に情報収集不足は否めないが、東大雪山荘は7月第一週週末?ごろから、大広間を相部屋として宿泊させるようだ。シングルは数部屋しかなくソロであれば相部屋が利用できる時期に行くのがよさそうだ。

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